カプコンのオンラインショップ「イーカプコン」内数量限定で販売された、千値練製のフルアクションフィギュア。
ゲームソフトの限定版の目玉として特製フィギュアが付属するというのは珍しくないですが、本商品は単体での販売も行われました。
勿論ニンテンドー3DS用ソフト「モンスターハンター3G」と本商品がセットになった、イーカプコン限定版もあります。
セットといっても専用のパッケージ等が用意されているワケでは無く、フィギュアとソフトは別梱包。 商品仕様は通常版、セット版共に共通です。
ちなみにこのセット、フィギュア単体だと税込6,800円のところ、セットになると税込8,800円という超お得価格に（ソフト単体：税込5,800円）
ハンティングアクションゲーム『モンスターハンター』シリーズに登場する
通称“ラギアシリーズ（剣士版）”の装備を纏ったハンターをフルアクションフィギュア化。
フィギュア制作『千値練』×監修『モンスターハンター3G開発陣』という徹底ぷり。 確実に非モンハンユーザーにも照準がセットされています。
商品の第一印象は「デカイ」 てっきりフィギュアーツ位の大きさかな と勝手に予想していましたが
全高：約160mmという結構なボリューム（注文時、病室のベットの上で商品スペックの数字だけ見てもピンときません）
パッケージの状態では付属品の大剣等も加わっているので余計ボリュームを感じれます。
サイズが大きくても造形面の大雑把感は一切なし。 鎧の質感やウロコ表現を細かなディテールでビッシリと再現。
文句なしにカッチョ良く仕上がっています。 しかしメインカラーの水色は成型色のままなので、少々安っぽい感は否めません。
ただそれをフォローする為か、全身にスミ入れ＆汚し塗装がやり過ぎという位加えられているので、成型色の件は大分誤魔化せている気がします。
やり過ぎ感のあるスミ入れ汚し塗装自体も、キャラクター性に合っていて“この位が丁度いい”位に思えてしまいます。
メインカラーの水色以外のカラーリングは塗装で再現。 印象的なオレンジのグラデーション等もしっかりと再現されています。
一通り触れてみて感じたのは、可動ギミックは意外と普通。
公式サイトの特集ページには「変態可動」の文字があったので、それを期待していましたが
よくよく読むと千値練の紹介文であり、商品説明には「変態可動」の文字は無いんですよね。
本商品は普段アクションフィギュアに馴染みの無い層にも、遊びやすい仕上がりを目指したとのことで
そこを踏まえて可動ギミックを見ると納得。 複雑な連動ギミック等は無く、シンプルなジョイント関節で構成されています。
スカートアーマーが非可動なのもそういった理由からでしょうか。 スカートアーマー自体は軟質素材製なので
下半身の可動をある程度フォローしてくれますが、それでも少々邪魔に感じる時もあります。
小サイズのアクションフィギュアならともかく、このサイズならここは普通に動かしてもらいたかった。
ちなみに、変態可動でお馴染みの造型ユニット『ケミカルアタック』は、本商品制作にはフィギュアとしてポーズを決めた時に
しっかり“決まる”カッコイイ等身バランスの検討をメインに参加したとのことで、可動ギミック自体には携わっていない様です。
可動面はアクションフィギュアファンとしては少々物足りなさは感じますが、それでも可動域自体は広めで
アクションフィギュアとして思いっきり楽しめるレベルには十分達しています。 可動域だけ見れば。
本商品最大の問題点は、全身の可動関節に使用されているジョイントパーツが、とにかくモロい。
構造及び材質が悪く、ちょっとしたことでジョイントパーツが破損する可能性大。
更にジョイントを差し込んでいる本体側の保持がキツ過ぎるという事もあり
ジョイントのピンがガッチリと固定され、まったく回らないという部分も多々ありました。
ただでさえモロいジョイントがガッチリと固定されるということで、破損の危険性は更に高まります。
それを防ぐために本体にはシリコーンオイルが多量に使用されていますが、普通に弄る為にはオイルまみれがデフォということでしょうか。
ガッチリと固定されたピンはドライヤーやお湯で温めると外れやすくなるので、安全に弄る時はそういった物が必須です。
実際このページで使用している写真を撮影した時も、一ポーズ毎にドライヤーを手に各ジョイントを温めながら調整していきました。
ネット上での破損報告も非常に多く、自分のも開封時から手首ジョイントが破損状態にあり、良品との交換をしてもらいました。
届いた物を弄ると、今度は股のボールジョイントがモロリ。 何の抵抗もなくスムーズにもぎれたので、ちょっと笑っちゃった位です。
ってなことで交換品と不良品（結果として両方とも不良品なのですが）をニコイチしました。
ドライヤー片手に慎重に弄っているので一通り弄れましたが、それでもかなり不安。
ジョイントパーツを変更しない限り、不具合の無い良品でも遅かれ早かれ結果は同じだと思います。
サイズ比較
他アクションフィギュアとのサイズ比較。
フィギュアーツ以上、S.I.C.未満 微妙に他アクションフィギュアシリーズとは絡めにくいサイズです。
一見近そうな特撮リボルテックのウォーマシンも、ボリューム的に見るとちょっと小さめ。
イメージ的に近いのは海外の7インチフィギュアでしょうか。
可動箇所＆各部ギミック
首：2連ジョイント（基部ロール可動＆ジョイント可動部：前後スイング×2）
リボルバージョイントの2連6mmジョイントの様なジョイントが使用されています。
接続方法もリボルテックの様な「L字接続」
問題無く動くのなら良いのですが、上記の様な問題がある為
この構造だと可動時にジョイント側に負担が掛かるので、動かすたびにドキドキもんです。
ヘルムの襟は可動式。 上下に可動します。
胸：前後スイング。
胸内部に球体ジョイント（大）が組み込まれており、首回りのユニットを前に倒す事が出来ます。
腰：横ロール＆前後スイング。 肩アーマー：球体ジョイント（基部ロール＆前後スイング）
肩アーマー：球体ジョイント。 肘：2重スイング。 手首：球体ジョイント。
股：ボールジョイント。 太股：横ロール。
膝：2重スイング。 足首：球体ジョイント。
付属品＆各ギミック
オプションハンド×4種（握り手、持ち手、平手×2種）、ラギアブレイド、ラギアブレイド用ジョイント
ラギアソード、ラギアソード用盾、盾用ジョイント、専用台座×一式（画像省略）、テクスチャーシート×3種（画像省略）
ラギアブレイド
ラギアクルスの素材で制作する大剣“ラギアブレイド”
大剣はモンスターハンターを代表する武装なので、付属品としてのチョイスにも納得。
何よりこのサイズと形状なので、抜群に立体化映えします。
ABS製でカッチリとした作り。 サイズがサイズなので重みはそれなりにありますが、背中に装備しても自立は問題ありません。
武装の方も本体と同様、細かな造形と丁寧な塗装で丁寧な仕上がりに。
水色の部分は本体とは異なり、塗装にてカラーリングが再現されている為、本体以上に質感も良く感じれます。
ラギアソード
ラギアクルスの素材で制作する片手剣“ラギアソード” 小ぶりの短剣と盾で1セット。
こちらもラギアブレイド同様にABS製＆全塗装。
2種類の武装を1パックで楽しめるという点は高ポイント。 個人的にはハンマーと片手剣が良かったけど。 …花がありませんね。
ちなみに持ち手は重いラギアブレイドを保持する為に、固めの素材が使用されています。
その為とにかく武器を持たせるのに一苦労。 手首ジョイントへはめ込むにも他のハンドパーツと比べキツ過ぎます。
その場合はお湯やドライヤーを使って一度パーツを温めるように とのアナウンスが発売前からメーカー公式ブログ等でありました。
少々手間ではありますが、保持重視という選択は個人的にはアリ。
しかし、手首や肘ジョイント自体の保持が緩く、ハンドパーツでガッチリと武器を保持していても、腕側が垂れ下がってきてしまいます。
ボリュームのある大剣だけならまだ仕方ないで済むのですが、サイズの小さな片手剣や盾ですら危ういです。
盾は専用のベルトパーツを使用し、前腕部に挟み込む形で固定。 前腕部パーツに合わせた形状になっているので、ガッチリと固定されます。
大剣は専用のジョイントを使用して、背中に背負わせることが可能。
保持を優先した為、背中側にジョイントパーツ用の大きなピンが固定されているので、未使用時の見栄えが悪いのがネック。
またジョイントパーツは、パッケージの状態では大剣側に取り付けられた状態で梱包されているのですが
こちらも保持を優先した為、とにかく固く 取り外すのに一苦労。 最初は大剣に固定されているのかと思っちゃいました。
千値練のアクションフィギュアシリーズ恒例のディスプレイ台座「ライオボード」も付属。
ライオボードの詳細は「RIOBOT 01 デルフィング[第二形態] 無彩色テストサンプル」のページを参考にしてください。
仕様はいつも通りなのですが、今回は本体が大きい為大サイズのアームでも本体をカッチリと保持できません。
肋骨あたりに引っ掛けてバランスを調整すれば、なんとか浮かせられるといった感じ。 ディスプレイ時の自立補助がベストかと。
専用のアームパーツがあるだけで使い勝手は大分変ったと思うのですが。
モンスターハンター内の各フィールドをイメージした台座用テクスチャシートが3枚付属。
『変態可動』を期待していた人にとっては、少々拍子抜けな内容だったかもしれませんが
“非アクションフィギュアファンでも弄り易く”のコンセプトは、ソフトと同時販売された本商品的にはある意味必然だったとも言えます。
といっても商品の作り自体には様々な工夫が見られ、単なるゲームソフトの限定フィギュアでは終わっていません。
細かな造形や彩色など見所満載。 オプション類も充実しており、1パッケージで存分に楽しむことが出来ます。
ただサイズが中途半端な大きさだったり、関節保持が微妙だったりと、色々な部分に粗も見えます。
が、そういった点を含めても商品としての魅力的は非常に大きいアイテムです。 ジョイントパーツの問題を抜きにすれば。
とにかく今回はジョイントパーツの問題が全てを駄目にしています。 もはや足を引っ張っているとかいうレベルではありません。
素材と構造上の問題でジョイントパーツが壊れやすく、更にジョイントを固定している本体パーツにも問題があり
一度ドライヤーやお湯等で温めてジョイントを動かしやすくしても、冷えると結局元通りになって、ジョイントのピンをガッチリと固定してしまいます。
こんな状態でフルアクションフィギュアとして楽しめ というのは無理があります。 ハッキリ言って欠陥品です。
本体造形が良かっただけに余計残念。
ハンターのアクションフィギュアというアイテム自体も珍しく、ソフトそっちのけで楽しみにしていたのですが…。
結局本商品を楽しむには、自己責任で別メーカーのジョイント（リボルバージョイント等）へ置き換える位のことをするしかありません。
有料でも構いませんので、強度がしっかりとした関節ジョイントを、サポート販売みたいな形で用意してくれないもんでしょうか。
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