射手座のアイオロス
バンダイの人気トイシリーズ「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」を更に昇華させた
新たな「聖闘士星矢」アクションフィギュアシリーズ『聖闘士聖衣神話EX（EXclamation）』
シリーズ第6弾は黄金聖闘士より“射手座（サジタリアス）のアイオロス”をリリース。
聖闘士聖衣神話EX用の新可動素体をベースに、アイオロスの頭部と射手座のゴールドクロスを本商品用に新規作り起こし。
クロス装着時のスタイルと可動に重点を置かれた仕様は今回も健在。 神話版と比べ飛躍的にスタイルが向上しています。
神話版に劇的な変化をもたらした「聖闘士聖衣神話APPENDIX サジタリアスアイオロス」を使用した状態の物（以下、APPENDIX版）と比べても
下半身のラインや全体のバランス等は比ではありません。 全体のもっさり感が無くなり、スッキリとシャープに仕上がっています。
また聖闘士聖衣神話版（以下、旧版）からクロスの構造及び装着方法も変わっており
膝アーマーと脛アーマーが別パーツ化されていたり、肩や腰部アーマーにカバーパーツが追加されていたりと
可動特化に伴いクロスもより動きやすく、各パーツの密集度もグッと高まりました。
頭部はEX素体に合わせて顔のバランスが調整されており、APPENDIX版から更に小顔気味に。
小顔の為、高身長感が強く表現されています。 恐るべし身長187cmの14歳（没年齢）
フェイス部造形イメージはAPPENDIX版と比べると、車田キャラ特有の“濃さ”が薄まっており、少々綺麗過ぎるように感じます。
ただ同シリーズのムウやミロの時の様な違和感は無く、アイオロスとしてのキャラクターイメージはしっかりと表現されていると思います。
個人的には聖闘士聖衣神話EXとしてはアイオリア以来のヒット。
襟足部の後ろ髪パーツはメインの髪パーツとは別になっており、首部ジョイントに固定されています。
これにより首を動かしてもクロスの襟と首の間に襟足が残り、不自然な隙間を残しません。勿論襟足パーツは首の可動には干渉しません。
今回目に付いたのはマスクパーツのカラーリング。 色が薄く、銀色にしか見えません。
良く見ると薄くゴールドカラーにてカラーリングが施されているのが変わりますが、それこそパーツとにらめっこしないと分からないレベルです。
確かにアニメ等でのカラーリング設定においては、マスクや腰部アーマー、足首部羽飾り等の色合いは
他の部位と比べて薄くなっていましたが、ここまで極端ではありませんでした。 というか腰アーマーとの色とも違っています。
色を反射を計算した演出とも考えられますが、だとしたらムラが出来過ぎていて、決してプラスには働いていません。
サジタリアスのゴールドクロス 各部ギミック
翼をフルに広げた状態。
基部の2箇所と翼の2箇所、計4点により翼の向きと広がりを調整できます。
翼部造形イメージはAPPENDIX版より採用された、羽毎に異なる表情が付けられている大きく動きの付いたもの。
聖闘士聖衣皇級版の様な羽毎の細かな可動は行えませんが、それでも4箇所の可動により、表情はかなり豊かです。
ただ上記の通り、翼側の保持が甘い為、向きによってはイマイチ安定感に欠ける場合もあります。 その点は玉に瑕。
翼基部は金属パーツ製の多重ヒンジジョイントを採用し、翼の上下前後の可動を可能としています（上下スイング＆前後スイング）
ボリュームのある翼パーツを支える基部だけあり、保持＆安定性は抜群です。
翼の中間点にも可動関節が組み込まれており、翼の展開と折り畳みを可能としています。
ただ基部ジョイントと比べると保持が甘く、広げても自重で戻ってしまうことが多々あります。
翼の先端部にももう一箇所可動関節が組み込まれています。
こちらも中間点と同様に保持が甘く、広げてもちょくちょく垂れ下がってきてしまいます。
アーマーのジョイントはEX版サガより採用された多重可動タイプ。
引き出し式の2重ジョイントとボールジョイントにより、アーマーの持ち上げ＋引き倒しや微調整等も可能に。
旧版では腰部サイドアーマーと一体化していた小アーマーですが、本商品ではそれぞれ独立したパーツになっており
腰部フロント、サイド、リアの各メインアーマーとは別に可動します。
腰部各アーマーはそれぞれ多重ジョイントにより接続。 フロントアーマー及びリアアーマーは2重スイングジョイントにより接続されています。
一部は単純なピン接続だった旧版から大幅に進化。 可動面は当然、安定性も桁違いです。
ちなみに腰部フロントアーマーの接続方法が従来の方式とは異なる、また新しい方式が取り入れられていました。
従来は腰アーマーを挟み込む形で2本のピンが取り付けられていました。 この方式だと最初は良いのですが
装着を繰り返しているとピンが削られて、次第に差し込み時の保持が弱くなります。
今回採用された新方式は腰アーマーに引っ掛けるフックタイプ。 フックにより表面と裏面で腰アーマーを挟み込むので
腰アーマーの固定と腰部フロントアーマーの固定をより確実に行う事が出来ます。 繰り返しの装着にも耐えられます。
腰部サイドアーマーはボールジョイント＆2重スイングジョイントによる3重ジョイントにて可動。
持ち上げれば股間接をフルに広げられる他、股の角度に合わせてサイドアーマーの向きを調整することも可能です。
サジタリアスアイオロス用可動素体
聖闘士聖衣神話EX用に開発された新可動素体を使用。 アンダーウェアカラーも当然アニメ版カラーとなっています。
聖闘士聖衣神話EX用新可動素体の詳細及び専用ディスプレイステージ（別売り）についての詳細は
「聖闘士聖衣神話EX ジェミニサガ」のページを参照にしてください。
ちなみに今回使用されている二の腕パーツは従来のパーツとは異なる、新規パーツの様です。
以前までの二の腕はロール部分と肩に不自然な段差がありましたが、今回採用されている新二の腕パーツでは
ロール部分の段差が極力抑えられ、ラインもより自然な形状に変更されています。
ちなみにその2。 今回ハズレを引いてしまったらしく、従来の物と比べて胸や腰関節の保持が極端に弱くなっていました。
胸間接は翼パーツの重みに引っ張られるわ、腰のロールは触れてもいないのにクルクル回るわで散々でした。
安定性の高さがウリの一つである聖闘士聖衣神話EXだけに、この症状は痛いですね…。
射手座の黄金聖衣（オブジェ形態）
従来の聖闘士聖衣神話シリーズと同様、オブジェ用フレームにクロスパーツを取り付けることで恒例のオブジェ形態も再現可能。
一部パーツの構成は異なりますが、フレームパーツへのパーツ取り付けは旧版とほぼ変わりありません。
といってもクロスやフレーム部は当然新規パーツなので、オブジェのスタイルも神話版から大幅に向上しています。
腰回りの一体感が増したことにより、胴から足にかけてのラインがより自然はフォルムに。 後脚の角度もより劇中に近くなっています。
翼パーツのボリュームもオブジェのボリュームとインパクトに大きな影響を与えています。
ちなみに自立バランスは問題ありませんが、それでも片足を上げているので4本足のオブジェ等と比べると、若干安定感に不安は残ります。
オブジェ形態での長期ディスプレイは何かしらの支えがあると安心かも。 地震の心配もありますし。
付属品&各ギミック
オプションハンド×7種（握り手、素体用握り手、平手×2種、矢用右持ち手×2種、弓用左持ち手）、手甲パーツ×2セット
フェイスパーツ×4種、マスク用前髪パーツ、星矢ヘッド、星矢ヘッド用マスク前髪パーツ、サジタリアスの弓、サジタリアスの矢
可動式マント（画像省略）、オブジェ用フレーム（画像省略）
前髪パーツの差し替えでマスク装着の有無を再現。
フェイスパーツは通常時、睨み時、叫び時、閉眼の計4種類付属。
ムウ、ミロ、星矢と個人的に「なんか違う」が続いていましたが、今回はどの表情もグッときました。
サジタリアス星矢を再現できる専用の星矢ヘッドパーツも付属。
装着時にはアイオロスの首部可動ジョイントとの交換が必要です。
「聖闘士聖衣神話EX ペガサス星矢(新生青銅聖衣)」の頭部ともまた異なる、本商品オリジナルヘッドです。
髪型と目線、口の角度が新生青銅版とは逆の向きを向いています。 目線が全力で横を向き過ぎていて少々違和感が…。
アイオロスとの体格差を表現する為、星矢ヘッドはアイオロスヘッドよりも一回り大きめになっています。
肌の色も星矢に合わせた色になっており、そのまま新生青銅版に流用可能です（フェイスパーツのみの交換も可能）
その分、アイオロスの可動素体とでは肌の色が微妙に違ってしまうという、なんとも間抜けな結果に。
では新生青銅版の素体にサジタリアスのゴールドクロスを装着すればいいのでは となりますが
新生青銅版の素体は微妙にサイズが異なっているので、クロスの交換は不可能となっています。 …オマケ程度に考えましょう。
星矢ヘッドも前髪パーツの交換でマスク装着の有無を再現可能。
サジタリアスの弓は旧版から比べ、より大型に。 各部ディテールの立体感も増しています。
専用持ち手への取り付けは、一度グリップ部を分割する方式になっており、取り付け＆取り外し作業も楽になりました。
サジタリアスの矢のデザインも旧版から微妙に変わっています。
矢用の持ち手は節を人差し指と中指で握った状態の物の他に、矢の篦（シャフト）を握った状態の物も付属しています。
こちらの持ち手で矢を保持する場合は、一度矢の矢尻を取り外してから篦を持ち手に差し込みます。
肩アーマーの可動域が広がったことにより、弓の構えポーズもより自然に決まるようになっています。
が、素体の肩部間接のボールジョイントの保持が甘く、弓を構えると自重で垂れ下がってきてしまいます…。
胸や腰の保持が甘かったのはシリーズ的に本商品が初でしたが、肩関節の保持具合は以前からこんな感じだったかも。
腕の前腕＆上腕部クロスだけで一杯一杯といった感じ。 ちなみに弓矢はプラパーツ製なので、それ自体の重量なんてのは無いに等しい位です。
聖闘士聖衣神話EX仕様の可動式マントも付属。
クロスとの接続部は当然サジタリアスのゴールドクロス仕様となっており、ガッチリと固定できます。
旧版ではマントパーツは付属しておらず、マント状態のサジタリアスを再現するには限定アイテムの「聖闘士聖衣神話 教皇シオン」のオプションを使用するしかありませんでした。
やっとこ1アイテムで翼状体とマント状態の2形態が再現可能に。 ただ聖闘士聖衣皇級で付属した収納状態の翼パーツは付属していません。
聖闘士聖衣神話EX仕様の可動式マントの詳細は 「聖闘士聖衣神話EX ジェミニサガ」のページを参照にしてください。
頭部造形に関してムウ以降個人的に引っかかる部分の多かった聖闘士聖衣神話EXですが
今回のサジタリアスアイオロスは久々に満足度の高い仕上がりとなっていました。
基本的な部分はEXシリーズおけるフェイス部造形イメージの共通フォーマットを引き継いでいる感じなので
旧版やAPPENDIX版にで見られる車田絵特有の“濃さ”は薄めではありますが
立体感のある表情造形やバランスの良いパーツ配置等、立体物としての造形クオリティはかなりのものです。
勿論頭部造形イメージに関しては人それぞれなので、一概に優劣は付けられませんが、造形に関してはEXシリーズの中でもトップクラスの出来と言えるでしょう。
旧版、APPENDIX版から聖闘士聖衣皇級を経てパワーアップしたサジタリアスの黄金聖衣も見所の一つです。
聖闘士聖衣皇級で取り入れられた様々な各部アーマーへの工夫が本作にも取り入れられており
アーマーの密集度、可動素体への密着度＆一体感、造形における立体感等、旧版のそれは非ではありません。
勿論聖闘士聖衣皇級とはサイズが異なるので、流石に全部が全部、聖闘士聖衣皇級版と同じ様なパーツ配置とはいきませんが。
また今回のEX版では翼部造形がより立体的でボリュームが増しており
翼の表情が豊かになったのに加え、更にパーツ自体の厚みも増しているので、背面側の立体感とボリュームがグンと増しています。
翼の可動関節も展開時に隙間が出来ない様に配慮されており、可動時の見栄えは聖闘士聖衣皇級以上です。
オブジェ形態時の再現度も当然増しており、旧版から見違える様な変わりっぷり。
黄金聖衣の代名詞的な聖衣なだけあり、その存在感は圧倒的です。 オブジェ目当てでも強くオススメします。
やはり射手座の黄金聖衣は別格ですね。
クロス装着時でも素体の可動をフルに活用できる、装着トイとしては驚異的な可動を誇るEXシリーズの可動ギミックも健在。
弓矢の構えがより自然に決まる肩周りの可動や、足を大きく開いても干渉を防ぎ、可動時のラインも綺麗に見せる腰部アーマー構造等
今回のアイオリアでも旧版とは比では無い、自由度の高いアクションと、綺麗なクロスの処理を楽しむことが出来ます。
が、上記の通り今回ハズレを引いてしまったらしく、素体の一部間接保持がガタガタで
EXシリーズのウリである安定性の高いアクションを堪能することはできませんでした。
聖闘士聖衣神話シリーズにおいても素体の保持の当たり外れはあったので
EXシリーズでもいつかはそういったものが当たるとは思っていましたが、よりによって翼付きクロスで当たるとは（汗）
素体の関節保持に関しては個体差の問題だと思いますが
マスクパーツの色に関しては仕様なので、初版全てに見られる問題と言えるでしょう。
この点に関しても好みの問題であり、評価は人それぞれかと思いますが、個人的には大きく引っかかってしまいました。
バンダイ的にはこのカラーリングが正解なのでしょうか。
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